第5回全日本学生フォーミュラ大会 参戦報告
各種目での得点・順位は次の表の通りです.
競技種目(括弧内満点) | 得点 | 順位 |
コスト(100) | 27.78 | 51 |
プレゼンテーション(75) | 37.50 | 25 |
デザイン(150) | 112.20 | 22 |
アクセラレーション(75) | 0 | 29 |
スキッドパッド(50) | 0 | 27 |
オートクロス(150) | 0 | 44 |
エンデュランス(350) | 113.75 | 22 |
燃費(50) | 9.60 | 15 |
総合(1000) | 300.82 | 32 |
第1日目
コスト審査
審査員とのディスカッションでは,先ほどのコストコンセプトの説明を含め準備不足が浮き彫りになり,質問に対して明確に答えられない部分があったり,要求される内容に対して的確な説明ができない場面がありました.
最後の製造工程説明でも,準備不足が目立ちましたが,担当者は各自が調べた内容を一所懸命に伝えました.
コストにおいては,全体的に取り掛かる時期が遅く,準備が足りなかった場面がありました.その結果,静的競技の中では低い点数になってしまいました.しかし,昨年度と比較して,コスト計算が効率的にできるようになったことや,当日のディスカッションについても次に生かせるものが得られたので,来年度は更なる躍進を期待できるのではないでしょうか.
プレゼンテーション審査
評価は37.5 / 75 pt と反省すべき結果でした.発表内容の裏づけや質問に対する資料の準備不足が主な要因です.
競技のコンセプトに求められる生産能力の証明,他チーム車両とのベンチマーク,市場調査によるマーケティング戦略を早い時期から行う必要があります.
デザイン審査
今年度のデザインレポートでは,各部の設計における取り組みに関して、できるだけ多くのことを書き,熱意を伝えました.
車両の設計は「Faster than the Fastest.」のコンセプトに基づき,速い車両はまず軽量でなければならないという思想で行われました.
この結果,車両重量は200kgと,4気筒エンジン搭載車としては極めて軽量な車両に仕上がりました.
当日の審査では,この軽量化努力についてアピールを行いました.
結果はまずまずの点数ですが,来年度以降上位を目指すのであればさらなる向上が求められます.
他チームのデザイン審査用パネルやデザインファイナルの模様から,多くのことを学び次へつなげなければなりません.
車検 - 技術車検
このため,第1回目の車検が1日目の17:30頃にずれ込んでしまいました.
周囲が暗くなってしまったので各部の確認が困難な上,一部の部品については車検を受けるレベルに達していないという状況であり,1日目の車検合格は達成できませんでした.
車検を受けるレベルに到達させるため,各部の改修作業を宿泊先で行いました.
第2日目
車検 - 技術車検
2日目の午前に第2回目の技術車検を受けましたが,数点の指摘箇所の改修が必要になりましたこれらの改修が完了し第3回目の技術車検で,ようやく合格となりました.
このとき時刻は15:00.オートクロス出走が危ぶまれる状況となりました.
車検 - チルト・騒音・ブレーキ
重量計測の結果,空車時で200kgとTG02が軽量であることが改めて示されました.
チルト試験では,燃料チェックバルブからの燃料漏れがありましたが,取り付け位置の調整により解決できました.
騒音試験では1回目117dBと大幅に超過.
念のために用意してあったバッフルを装着するための加工を施し,バッフル追加で再度試験を受けたところ110dBと許容範囲ぎりぎりですが,合格となりました.
ブレーキ試験も無事に通過できましたが,時刻は17:30とオートクロスの出走はできなくなりました.
第3日目
プラクティス
プラクティスでは大きな問題は発生せずエンデュランスへの準備は万端です.
この日は時間的余裕も出来,他チームとの情報交換やドライバーのイメージトレーニングにも時間を割くことが出来ました.
第4日目
エンデュランス - ファーストドライバー手塚のレビュー
走行前は頭ではいろいろと考えていたが,マシンをスタートさせるとそんな余裕もどこかへ行ってしまい,マシンを壊さずセカンドドライバーの田中へバトンをパスすることで頭がいっぱいになってしまった.
そのためか,スタート後の2周は1分30秒を越えるようなペースでしか走れず、ブラックフラッグが提示されてしまった.
走りを見守っていたメンバー達には心配をかかせてしまったことをお詫びしたい.
その後はペースを上げることができ順調に周回をこなし田中へとドライバーを交代することができた.
運転した感覚からも,完走という実績からも今年度のマシンのポテンシャルは相当高いものであると断言できる.
今年度のマシンで徹底的に運転技術を磨き,来年度はさらに上位の結果を狙いたい.プロジェクトを支えてくれたスポンサー様方と先生達,僕にマシンを預けてくれたメンバー達,本当にありがとう.
表彰式・総合結果
全ての動的競技に参加することはできなかったものの,エンデュランスは完走することが出来ました.
車体重量200kgという4気筒エンジン搭載車では極めて軽量なTG02は,耐久性を損なうことなく軽量化に成功したことを証明できました.
しかしながら,今後更なる成績向上のためには全ての動的競技への参加,静的競技の得点向上が必要です.
第5回全日本学生フォーミュラ大会を振り返って
私達にとって2回目である今大会は,昨年度に引き続き,多くの反省を残す大会となってしまいました.その中で最も反省すべき点はスケジュール管理です.設計段階から徹底的な軽量化を行い,マシンのポテンシャルは高いものでありましたが,製作&改修作業が大会直前にまで伸びてしまい,十分なセッテイングやドライバーとのマッチングを行う時間がありませんでした.
また,静的審査についても提出期限の超過による減点や,準備期間の不足から満足のいく点数は取れませんでした.
適切な目標設定とスケジュール管理は今後の課題です.
この大会に参加したほとんどのメンバーが,チーム運営,車輌製作&開発,学業との両立など,大変過酷な日々を過ごしてきました.そのメンバー一人一人の努力は結果の良し悪しに関わらず,大変意味のあることだと思います.
ただし,学生フォーミュラが”Engineering competition”である以上,勝つことに対して一切の妥協は許されません.
この悔しさを胸に,来年の大会に向けて走りだします.
最後になりましたが,今年1年間活動を支えて下さったスポンサーの皆様,多くのご支援,ご声援を頂いた方々に心より感謝いたします.
豊橋技術科学大学 自動車研究部 TUT FORMULAの今後にご期待下さい.
豊橋技術科学大学 自動車研究部 TUT FORMULA
部長 田中和宏